◇二回戦(三つ巴)支援◇

第一弾(開戦前〜12:00迄)第二弾(12:00〜17:00)第三弾(17:00〜21:00)第四弾(21:00〜終了)
2回戦支援まとめ第一弾(開戦前〜12:00迄)

367 名前:リング穴Joe 投稿日:02/01/19 23:50 ID:5btBAPfF
12月4日火曜日 最萌トーナメント一回戦
一生懸命系属性同士の松原葵VSマルチの試合が行われていた
しかし、ここに誰もが予期しなかった信じられない事態が発生した。
270 VS 270 トーナメント初の引き分けだった・・・
プロジェクト”萌え”!
♪風の中のすばる〜          同属性故の結果 会場はお祭り騒ぎ!
♪砂の中の銀河〜           盛り上がる投票者 戸惑う両陣営
♪みんな何処へ行った〜        審議する集計人たち 両者失格!?
♪草原のペガサス〜          リバーサー清水なつき?
♪街角のヴィーナス〜         英断!三人勝負決定!!
♪みんな何処へ行った〜        勝者の意地!豊乳熟女 神尾晴子!
♪地上にある星を誰も覚えていない〜  次は勝つ!格闘娘に負けはない!松原葵!
♪人は空ばかり見ている〜       姉妹丼権利保留!セリオと共に勝利を!マルチ!
♪つばめよ〜高い空から〜教えて〜よ  年下一生懸命系×2&熟女!
♪地上の星を〜            属性の大きく異なる晴子の影響は!?
♪つばめよ〜地上の星は今〜      戦略を練り直す各陣営! 浮動票の動向?
♪何処にあるのだろう〜        いかに萌えさせるか? 1月20日決戦!!
Fブロック二回戦第4試合
 三人決戦!!神尾晴子は勝者確定の夢を見させるか!?
  水瀬に続き母娘丼! 神尾晴子(AIR) VS
  来栖川綾香に続け! 松原葵(東鳩) VS
  果たせ!姉妹丼!! マルチ(東鳩)
 最早”引き分け”は許されない!!





372 名前:控え室 ◆HarukooQ 投稿日:02/01/19 23:52 ID:qFjTyHaK
往人「そろそろ時間だな」
晴子「…ん、なんかはじまるんかいな」
観鈴「葉鍵板最萌トーナメントだよ。今日はお母さんの試合」
晴子「ああ、そういえばそうやったな。ほな、まあ、とりあえず飲も」
往人「飲んでる場合かっ。このトーナメント、AIR勢は不調で、あとはもう神尾家の
人間しか残ってないんだぞ」
晴子「ほー、『神尾家』の人間な〜。どこぞの『最高』な優勝候補さんは途中で負けよったもんな〜」
往人「ぐっ……」
晴子「その人は『神尾家』の人間とちゃうかったっけ? やっぱ居候やと家族扱いされへんのか」
往人「………」
観鈴「わ…往人さん、落ち込んだ…」
晴子「わはは、別にええやん、居候。うちもすぐそっち行くし。飲んで忘れよ」
往人「……一杯くれ」
晴子「ほいほい。今日は特別やから観鈴に酌させたろ。観鈴、注いだり」
観鈴「往人さん、はい」
晴子「それにしてもあれやな。敗者がヤケ酒あおるんは、見とって気持ちええぐらい憐れやな」
往人「…………」
観鈴「わ…さらに落ち込んだ…」
晴子「あはは、冗談やって、冗談やって。今日は宴会やからパーっと飲も飲も」
往人「ナヤデネテヤル! ヽ(`Д´)ノ モウコネエヨ!!」

388 名前:神尾晴子 入場 ◆HarukooQ 投稿日:02/01/19 23:58 ID:qFjTyHaK
>>372より

観鈴「お母さん、ほら、もう出番だよ。飲んでないで、行かなきゃだめ」
晴子「(゚Д゚)ハァ?」
観鈴「はあ、じゃなくて、試合がはじまっちゃうの」
晴子「マダノンデモ(・∀・)イインチョ?」
観鈴「だめだって、もうっ。すっかり酔っ払っちゃってる…。往人さん、なんとかして」
往人「どうして俺が負けてるんだ(゚д゚)ゴルァ」
観鈴「わ…往人さんまで悪酔いしてる…」
晴子「ニホンシュ(゚д゚)ウマー」
観鈴「が、がお…。どうしたらいいんだろう…。観鈴ちん、ぴんち…じゃなくて、お母さんが、ぴんち」
晴子「(゚Д゚)ガオー」
往人「困った表情の観鈴ちん(;´Д`)ハァハァ 」
観鈴「ほんとにどうしよう…。ね、そら、なんとかならないかな」
そら「(これをどないせいっちゅうーねん。わしゃ、あんたら専用の便利屋とちゃうで…)」
観鈴「そら、お願い…」
そら「(あ、あんた卑怯やで。わし、その目に弱いんや…。こうなったらいっちょやるしかないか)」
くいくい。
晴子「ん、なんやこのカラス。うちの前でケツふりふりして…」
ちょいちょい。
晴子「ま、また挑発しくさったなっ。いったろうやないか(゚д゚)ゴルァ」
てこてこてこーっ!
観鈴「そら、そのまま試合場まで逃げてっ」
晴子「待たんかい、このくそカラスーー! 今度こそ捕まえて『ゴチになります中華編』の
素材にしたるーーー! ひっく…」


……神尾晴子、千鳥足にて入場…。





888 名前:晴子さん命 ◆HarukooQ 投稿日:02/01/20 03:10 ID:DPLs6tw5
↓替え歌支援BGM
http://www.geocities.co.jp/Playtown-Queen/8330/layzner.mid
『LONELY NIGHT 〜人魚のように〜』

街にうなる轟音
飲酒運転 納屋に突っ込む〜
ちょっと おちゃめな人魚
おばさんじゃな〜い 死神じゃない〜

可愛い瞳で
しらを切らないで
不吉なカラス飼わないで欲しい
昨日めっちゃ揉めて 許したったのに
なんで また増えとんね〜ん

「晴子! 今日はあんたの試合みたいだぞっ」
「お母さん、ふぁいと」
「しかし相手が悪すぎるな。正直、勝ち目はない」
「なんやてぇ? それやったら、うちの恥ずかしい告白で支援するしかないなっ」
「あんた、人魚さんって言いたいだけちゃうんかと(以下略)」

LONELY NIGHT カラスさえ
LONELY NIGHT シカトする
今夜も一人酒や〜
LONELY NIGHT 逝き先は
LONELY NIGHT 遥か彼方の
ゴール目指して〜




90 名前:ちがった空へ1(晴子支援) 投稿日:02/01/20 04:53 ID:TIdFkawW

 防波堤に沿って、まっすぐに歩く。
 町の境界を示す唯一の目印は、先に向かって伸びている。
 太陽の照り返しで視界は真っ白に染まっていた。夏の日射は、歩みをおし留め
ようと真上から圧し掛かっていた。白いアスファルトに楔を打つように足を進めた。
 背後から空きっぱらに響く低い轟音が聞こえてきた。咆哮は俺のすぐ横で止まった。
「待ちーな」
 構うことはしない。そのまま歩く。
「待て、ゆーとるやろがっ」
「ぐわっ」
 頭に衝撃。意識の薄れる頭でようやく体勢を立て直し、足元に転がるものを拾った。
 塗料の剥げた黒いヘルメットだった。
 それを拾い上げ、ゆっくりと振り返った。
 ワンレングスの髪をなびかせるバイクスーツ姿の女性が、赤い巨大なバイクに
またがっていた。
「どこ行くんや?」
「……あんたには、関係のないことだ」
 構う必要もない。
 かつて、娘をほったらかしにして出て行った母親など――。
 俺が目を覚ましたときすでに観鈴の姿はなかった。代わりに保育所で働く彼女が
神尾の家にいた。一日の中で彼女と顔を合わせることはほとんどなかった。方術の
力はなくなっていたので、夜遅くまでリアカーを引きリサイクル品を集めて回った。
深夜にまれに顔をあわせたときには、彼女が一方的に話した。やっぱ子供相手は
疲れるわー、などと笑いながら言う彼女に、俺は背を向けて眠った。
「行くで?」
 彼女はまたがったままバイクを横につけた。
「観鈴んとこ、行くんやろ?」


「さあな」
「あんた、観鈴がどこにおるか知っとんか」
「半透明の少女が現れたなんて噂、街を巡ればそのうち耳に入るさ。それに心あたりも
ある」
 立ち聞きした彼女への電話で、観鈴が空から戻ってきたことを知った。電話の相手は
彼女の元旦那で、彼のところに観鈴は姿を現しているらしかった。おおまかな場所も
分かった。それで十分だ。
「『羽根の生えた少女』の話か?」
「なッ……?!」
「なんでそのことを知っとるんや、ちゅう顔やなー」
 彼女はにやにやと笑い、ハンドルに肘をついてこちらの顔を覗き込んだ。
「ほんまあんた、顔に思とることがすぐ出るなぁ。普段のぶっきらぼうな面とえらい
違いや」
「ほっとけ」
「あんたが行こうとしとるところ――」彼女は構わず話を続けた。
「敬介の家は、その神社の氏子やねん。当然、縁起やらなんやら残っとってな。
『空の少女』がどうとか『千年の呪い』がこうとか、全部聞き出したったわ。なんや
むっちゃけったくそ悪いなよなぁ。うちらがそんなこと知るかっちゅうねん」
「で……、あんた、行くのか」
 なるべく声にドスをきかせ、訝しげな表情で尋ねてみせた。
「あんたの言う空の少女の話は、俺の家と観鈴や他の少女たちとの問題だ。他人の
入る余地はない。俺の家はそのために定住する家も食い扶持も捨て、風に身をまかせ
たんだ」
「行くで、あたしは。やり直さなあかんことがぎょうさんあるんや」
 彼女は目を伏せ、自分に言い聞かせるように呟いた。
 それからやおら八重歯を見せてにぱっと笑った。
「当たり前やん〜。あのあほちん、叱ってやらなあかんしなーっ」
「……ああ」
 俺は手にあったヘルメットを胸の前まで持ち上げた。
 顔がほころぶ。彼女も口元をあげた。


「俺も、観鈴には一言ある」
「そういうこっちゃ。さ、はよ、メットかぶらんかいな」
 彼女はぱんぱんと自分のバイクのシートを叩いた。
 ヘルメットを被った。
 視界のほとんどが覆われ、小窓に切り取られた正面の風景が残る。
 シートをまたぎ、後ろにすわった。これから手も足も、バイクにしがみつく
ことにしか使われないことになる。
「一応確認やけど、前みたいなことしなや」
「前みたいな?」
「右に曲がるときはあんたも右に身体を傾けること。左に曲がるときは左に傾ける。
ま、普通に乗っとったらそうなるけどな」
「風に身を任せるのは得意だ」
 そか、とだけ言って、彼女は身体を前に傾けた。
 バイクは、何度かうなり声を大きくあげると、身体を大きく震わせ、回旋する足で地面を削るようにして駆け出した。
 手に力をこめ、体重を預けた。
 これまで、いろいろな旅をしてきた。
 稼いだ路銀でバスに乗ることもあれば、より大きな街を目指して歩いたこともあった。ヒッチハイクも試みた。
 しかし、バイクにタンデムで乗るのは初めてだった。
 圧倒的な風が身体をすり抜けていく。
 エンジンの騒音と風の鳴る音と伝わる振動とで、どうにかなりそうだった。飛ばされないように、彼女の腰に掴まった。
「なんや、怖いんか?」
 彼女の甲高い早口もくぐもっていて、ようやく聞き取れるほどだった。
「違う」
 それだけ言おうにも、つけているヘルメットの違和感が言葉にするのを拒む。
「この子も煩いけど、我慢しーや」
 海岸線に沿った緩やかなカーブを、赤いバイクは車体を傾けながらすり抜けていく。
虚仮おどしのように大きな車体は低いうなりをあげていた。彼女の愛用のバイクの後ろ
に自分が乗っていることも意外だが、彼女と旅に出ようとしていること自体意外だった。


バスの停留所が目に入った。防波堤沿いに造られたトタン屋根の待合所には、誰の
姿もなかった。その光景も一瞬に遠くへと追いやられる。
 こんなに簡単だったのか――、この町を出るのは。
 そんな感慨が頭を過ぎる。
 風は流し去っていく。そこにあったはずの、夏の大気を。
「待っとりや、観鈴――」
 彼女――神尾晴子の呟きが聞こえてきた。バイクの放つ轟のなかでも、小さな囁きは
はっきりと耳に届いた。
 流れ着いた小さな町で出会った一人の少女。流浪の旅に身を窶し、全てを捨ててきた俺が、
どうして彼女に拘るのかは、俺自身にも判らなかった。
 ただ。
 一つ言えるのは、この旅がこれまで繰り返してきた旅と違う、ということだ。
 感覚を風に浸し、遠く拡がる空を思い浮かべた。しかし、空の涯へと突き抜けていく鳥の
イメージは、いつまでも浮かび上がってこなかった。
 海は山影に隠れて見えなくなった。バイクは鋭い音をたてながら、木々のうねる道に
飛び込んでいった。

104 名前:90 投稿日:02/01/20 05:12 ID:TIdFkawW
>>90,95,100,101
最萌初投票&SS初投稿です。不備がありましたらごめんなさい。

前スレ383に心震わされ、何かせねばとHDDに眠っていた断片の体裁を整えて
アップしました。あんまり、萌え〜って感じではないですが。

あらためて<<晴子>>さんに一票。ADSLです。




第二弾(12:00〜17:00)

272 名前:ふじい00@晴子さん支援 投稿日:02/01/20 12:17 ID:u2ON2y65
観鈴日記 8月4日(2/2)

お母さんが帰ってきた。
一緒にジュースを飲んだ。
お母さんは、おいしくないって言ってた。
おいしいのに・・・どろり濃厚。
でも、うれしかった。
お母さんと一緒にジュースが飲めて。

お母さんは、橘の家に行って私を神尾の家の子にするって、言いに行ってくれた。
すごく嬉しかった。すごくすごく嬉しかった。
でも、私、もう誰にも迷惑かけないで生きるって決めてたから。
でもお母さん
「ふたりで頑張っていこ」
って言ってくれた。

お昼はお母さんが雑炊を作ってくれた。
おいしかった。
でも、おいしくないって言わなくちゃ。
でも駄目だった。
お母さんの事、嫌いにならなくちゃいけないのに。
お母さんの前で泣いちゃった。
・・・お母さんとふたりで生きていきたい
そしたらお母さん、
「どんな親でもな、自分の命より娘の命のほうが大事なんや。あんたがうちを
 必要としてくれるんやったら、それ以上のことなんてあらへん」


って、そう言ってくれた。
私、すごくすごく泣いちゃった、お母さんの胸の中で。うれしかったから。
すごくすごくうれしかったから。すごく幸せだったから。

その後、お母さんが髪の毛を切ってくれた。
すごく短くなってた。
お母さんの子供に戻ったみたいでうれしかった。
お母さんがいてくれたら、私、また今日から頑張れる。
今日から、またスタート。

その後、お母さん、クッキー(パンケーキだったけど)焼いてくれた。
授業参観の時の話をした。
かりんとうの話もした。
今日は、いろんなことがいっぱいあった。
うれしいこといっぱいあった。
いっぱいいっぱいあった。
明日も、うれしいこといっぱいいっぱいあるといいな・・・


観鈴日記 8月5日

今日はお母さん、すごく早起きして、お味噌汁とお魚作ってくれた。
お母さんのお味噌汁、なんだかうれしい。
お魚さん、食べさせてくれた。

その後、お母さんと二人で夕方までトランプした。
お母さん、私のためにお仕事、休んでくれたみたい。
楽しいと、時間が経つのがすごく早い。

トランプした後、お母さんと一緒にお風呂に入った。
この歳でお母さんと一緒にお風呂入るの、すごく恥ずかしかった。
お母さんが体、洗ってくれた。
でも、胸とかばっかり。しかも素手で。
こうやって洗ったら胸、大きなる、って言いながら。にはは。


今の私、すごく幸せ。
こんな日が、ずっとずっと続けばいいのに・・・
明日も、いい日だといいな。





284 :観鈴ちんのおしおき 1 ◆HarukooQ :02/01/20 12:08 ID:91ykFZEc
「お母さん、まだ飲んでるのっ」
 ガタンと勢いよく扉を開けて観鈴が入ってきた。
「あれ、なんや観鈴、まだ寝てなかったんか?」
「お母さんがうるさいから目が覚めちゃったの!」
 なんだかよくわからないが、かなり怒っているようだ。
 そんなにうるさくした覚えはない。いつも通りにちびちびやっていたはずである。
「なんや、機嫌悪そうやな〜。ほら、観鈴もこっちきていっしょに飲も」
 横に座らせて、場をとりなそうとしてみる。
「お母さんが飲んだくれさんだから怒ってるの。ちょっとは控えてほしいな」
「酒は人類の友やで。友人を見捨てられるかいな」
「もうっ、お母さんのバカバカ、バカミックスっ!! そんなにお酒が好きなら
 お酒と結婚すればいいじゃないっ!」
 声を張り上げ、一升瓶を取り上げた。
「なにおかんみたいなこと言うてんねん。んぐぐっ! こ、こら、いくらうちでも一升瓶ごと
 ラッパ飲みできるかいっ」
「わたしのお酒が飲めないって言うのっ!」
 ぐびぐび。
「んんんーーーー!!」
「お母さんのアンポンたんっ。お母さんのいき遅れ!」
 ぐびぐびぐび。
「んぐっ、わかった。わかったから、せめてコップで飲ましてぇや…」
 息も切れぎれに懇願する。
「ちゃんと、わたしが注いだお酒飲む?」
「の、飲むで。飲む飲む」
 なんだかよくわからないが、ここは大人しくしておいた方がいいだろう。
 それにしても、一体どうしてしまったのか。
 明らかにいつもの観鈴ではない。

285 :観鈴ちんのおしおき 2 ◆HarukooQ :02/01/20 12:08 ID:91ykFZEc
 トクトクトク。
「はい、お母さん」
 もう何杯目になるだろうか。いくらコップを空けても、容赦なく次が注がれる。
「ううぅ…。さ、さすがにもう飲めんわ。体がフラフラする…」
 量的にはまだ大丈夫なはずだが、今夜はちょっと調子が悪いようだ。
「それより観鈴、あんた今日おかしないか? やけに絡んできよるし…」
「わたしのこと、いらない子だって言うの!?」
「ちゃ、ちゃうって、ちゃうって。なんかいつもと変わったことなかったかなって、
 大事な娘のこと心配しとるんや…」
「…うーーん、変わったこと……」
「なんかヘンなもん食べたとか、なんかヘンなもん拾って食べたとか…」
「なんか引っかかる言い方…。でも、そういえば、拾い物じゃなくて
 往人さんが持って帰ってきたやつなら食べた」
「お、何食うたんや? それが原因かもしれへん」
「キノコ食べた。すっごくおいしいの。なんとかハンテンタケっていってた」
「ごっつベタやでっっっっっ!!!!!」
 全身でつっこむ。
 どうやら性格反転茸を食べたらしい。
「ほら、お母さん、もっと飲んで」
「ううぅ……今の観鈴は悪い子になってしもとるんやな…。無理矢理、酒飲まして
 うちをいじめて喜んどる……」
 しずしずとコップを口に運ぶ。今日はもう諦めるしかないらしい。
「あ、さっきね、お母さんが飲んだお酒に目薬入れといたよ。にはは」
 だらーーーーーー。
「わ、お母さん、お酒こぼしてみっともない。服もびしょ濡れ」
「あ、あんた……それ犯罪やないかっっ!!」
 普段より調子が悪いのは、どうやらそのせいらしかった…。

286 :観鈴ちんのおしおき 3 ◆HarukooQ :02/01/20 12:09 ID:91ykFZEc
「タオル持ってくるからちょっと待ってて」
 とことこと居間を出る。
 一方の晴子は、ショックとアルコールと目薬のせいで唖然としている。
「お酒拭くからじっとしててね」
 戻ってきた観鈴がタオルで口元から拭っていった。
「お母さん、おいたしたらだめだよ」
「あ、あんたなぁ……」
 開いた口が塞がらないらしい。
「おいたした悪い子にはお仕置き」
「なんでやねん……」
「しかもエッチなお仕置き」
「!」
「お母さん、フラフラで動けないから今がチャンス」
「こ、こら…あんたなに考えてるんや……」
「お酒拭くふりして、いっぱい触っちゃう」
「セクハラやないかっ。だいたい、なんでうちがそんなことされなあかんねん」
「お母さん、わたしにお仕置きするとき、いつもエッチなことする。だから仕返しするの」
「そりゃ居候の妄想やろっ。うちはそんなことしてへんで」
「にはは。問答無用」
「こらっ、笑いながら手にぎにぎさせるんやめいっ。う…うそやろ、観鈴……冗談やんな。
 観鈴ちんはええ子やから、そんなことせえへんやんな?」
「観鈴ちん、悪い子。ぶいっ」
 妖しい微笑を浮かべて、にじり寄る…。

287 :観鈴ちんのおしおき 4 ◆HarukooQ :02/01/20 12:10 ID:91ykFZEc
「服びしょびしょだから、脱がせちゃうね」
「こらっ。や、やめんかい…」
「メッ。お母さん、じっとしてて」
 必死の抵抗を試みるが、フラフラの体ではそれもままならない。
 結局は素肌を晒してしまうことになった。
 ふに。
「んん……」
「わ、やっぱり大きい…」
 両胸を下から持ち上げるように掴んで、たぷたぷしてみる。
「すっごいやわらかくて、すべすべ……」
 むにむにしながら頬ですりすりしてみる。
「あんた……性格反転っちゅーより、ただのエロオヤジ化しとるやないか…」
「わ、わたし…変態おじさん」
「そ、おっさんや」
「が、がお…。そんなひどいこと言う口はこうしちゃう」
「むーーーーっ!」
 ぶちゅーっと、濃厚なキスが繰り広げられる。
 どたばたともがいてみたが、結局は観鈴に押し倒されてしまった。
 もうこうなってはされるがままである。
 ぷにぷにぷに。
「あんたなぁ……いくらうちらがラブラブ親子やからってなぁ……これはちょっとやりすぎやで」
「どうして? いっつもお母さんといっぱいちゅーしてる」
「あれは家族のちゅーや。こんなん、セフレの領域やで」
「セフレ…ってなに?」
「……冗談や…意味わからんでええ」

288 :観鈴ちんのおしおき 5 ◆HarukooQ :02/01/20 12:11 ID:91ykFZEc
 ふにふに…。
「ね、お母さん。お母さんはおっぱい出ないの?」
「…んなもん出るわけあらへんやろ」
「うーん、残念。お母さんのおっぱいなら、お酒が混じってカクテルみたいになってそう」
「あんた、出たら飲む気なんか…」
「そうだ、いいものあるよ。はい、これ」
 どろり濃厚牛乳。
「またこのシリーズかいっ。しかも今どっから出したんや…」
「これをこうして…こうしたら……」
「うわっ、冷たっ」
「にはは。おいしそう」
「あんた、なんちゅーマニアックなプレイを……」
 酒の次は牛乳まみれの晴子であった。
「ん……おいしい………」
 ぺろぺろ…。
 ちゅっちゅっ。
 れろれろ…。
「は…ん………あぁ……」
 一通り舐め終わると、今度は執拗に乳首を吸われる。
 それは、赤ん坊がおっぱいを飲む行為となんら変わりはない。
 微かに動く腕で観鈴を抱きしめると、本当に授乳しているような錯覚を覚えた。
「………なんか…ほんまの親子みたいやな……」
 頭を撫でながらつぶやくが、それにしては快感の要素が強すぎた。
 ちゅーっ。
「あああぁぁんっ。そ、そんなに強(つよ)吸うたらあかん……」
 やっぱり感じてしまう。
 世の中の母親たちはどうしているのだろう。
 自分が産んだ子供なら、気持ちよくなったりしないのだろうか。
 場にそぐわない疑問を抱いて、ふとそんなことを考える自分が可笑しくなった。

289 :観鈴ちんのおしおき 6 ◆HarukooQ :02/01/20 12:12 ID:91ykFZEc
「………え?」
 股間にもぞもぞとした感触を覚えて我に返る。
「お母さん、濡れてる」
 いつのまにかジーパンが脱がされていた。
「女の子の大事なところ。どうしてお母さんは濡れてるの?」
 観鈴の言う通り、ショーツのその部分が隠しようもないくらい湿っていた。
 目薬の効果もあるのかもしれない。
「おもらししちゃう悪い子には、やっぱりお仕置きが必要だね」
 そう言って、素早くとショーツをずりさげる。
 くい。
「ああぁぁんっ」
 直に刺激されると否が応にも反応してしまう。
 くちゅくちゅ。
 くにくに……。
 声を荒げる晴子をおかまいなしに蹂躙する観鈴の指。
「にはは。お母さん、ここ、つんつんされるのすごく弱いみたい」
「んんんっ、はぁぁぁぁ……」
 いわゆる、女の中の男の部分である。
 くにくに。
 くりくり。
「にはは。すごく気持ちよさそう。なんかうれしいな」
 気をよくした観鈴はさらに動きを早める。
「はぅぅっ、み、観鈴っ、そ、そっちは、そっちは違うっ」
 明らかに今までと違う過剰な反応を見せる。
 勢い余った指が後ろの穴まで到達していたのだ。

290 :観鈴ちんのおしおき 7 ◆HarukooQ :02/01/20 12:12 ID:91ykFZEc
「そういえば、お母さん言ってたね。はじめてのときはお尻だったって」
「あ、あれは冗談やって言うたやろっ」
「よし、じゃあ次はこっちを攻めてみよう。うん、それいい考え」
「そ、そんなん嫌やぁ…」
 指を少し入れてる。が、予想以上に抵抗が強い。
「うーん…意外と入りにくい。本当に冗談だったみたい」
「み、観鈴。お願いやからそっちは堪忍してぇ…」
「うーん……」
 いつものように、邪気のないしぐさで観鈴は考え込んだ。
「じゃあね、がおって言ってみて」
「………へ?」
「がおって鳴くの。がおって。これから気持ちよかったときは全部がおって言ってね」
「…なんの意味があんねん」
「お仕置きだから。お母さんががおって言ったら観鈴ちんがお仕置き。にはは」
「それ、ごっつい矛盾してんで…」
 構わず指の動きを再開させる。
 つぷ……ぬぷ……。
「ああぁぁんっ」
「ほら、お母さん。がおーって」
 くちゅ……ずちゅ……。
「がおーっって」
 ぬちゅ……ぐちゅ……。
「が、がおぉ……」
 観念したように晴子は呟いた。

291 :観鈴ちんのおしおき 8 ◆HarukooQ :02/01/20 12:13 ID:91ykFZEc
 こだまするセミの声。目に差し込んでくるまぶしい朝日。
「なんや、もう朝か…」
 寝ぼけまなこで天井を見つめるが、なにかいつもと違う。
「居間で寝てもうたんか、うち…」
 原因がわかったところでもう一度目を瞑ったが、
 異常がそれだけには無いことに気付き慌てて跳ね起きる。
「なんでうちが朝に目ぇ覚めるねんっ」
 それだけではない。
 やけに肌寒いと思ったら、なにも身につけていないのだ。
 そして、傍らには同じく素っ裸の観鈴が寝息を立てている。
 ……とたんに昨夜の出来事が思い出された。
「こら、観鈴、起きんかあーーーーーーーーーぃっっ!!」
 一瞬、家全体が揺れたようだった。
「あんた昨夜はよくもやってくれたなぁ…。しかもあんやイヤらしいお仕置き……。
 絶対、絶ぇぇ対っ許さへんからな! 三倍にして返したる。もう足腰立たんようになる
 くらいのごっつエッチなお仕置きしたるからな!!」
 一向に起きない観鈴に向かって誓いを立てる晴子だったが、なにやら庭の方が騒がしい
 のに気付く。
「……居候、なにやってんのや…?」
「あ、おはようございます、晴子さんっ。
 納屋の修復やりました。庭の雑草抜き終わりました。
 次はなにをやればいいですか!!」
 すっかり良識人となった往人が、ボランティアに瞳を輝かせていた…。

292 :晴子さん命 ◆HarukooQ :02/01/20 12:15 ID:91ykFZEc
>>284-291
以上、『観鈴ちんのおしおき』でした。





296 名前:夏の幻想 1 投稿日:02/01/20 16:15 ID:kV32s2Za
 初めてあの人を見たのは夏を直前に控えた、6月の終わりの
夕暮れだった。
 高校の部活を終え、ちょっと疲れた身体を引きずるようにし
て海岸線の道路を歩いていると、自動販売機が目に付いた。
 喉も乾いていたし、ちょうどいいや、と一休みしようとポケ
ットから財布を取り出しながら自動販売機に近づくと、すでに
先客がいたのに気付いた。
 そこにいたのは長い髪を後ろでまとめ、スーツに身を包んだ
女性だった。見た目の年齢は―――20代後半だろうか。
 切れ長の鋭い、しかし優しそうな目。
 やや赤い、というよりも紫色に近い長い髪。
 そして着こなしたスーツ。
 綺麗なお姉さん、それが第一印象だった。
 流れるような手つきで缶コーヒーを自動販売機から取り出し、
一息にそれを飲み干すとそのお姉さんは空き缶となったそれを
自動販売機の横にあるくずかごに投げ入れた。
 その一連の動作がとても美しく、僕には眩しいものに見えた。
 ぼー、と見とれていると、お姉さんが小脇に抱えていたヘル
メットをおもむろに被り、自動販売機の側に停めてあったバイ
クにまたがった。。
 ヴォン!とエンジン音が夕暮れの風景に響く。
 そのバイクの真っ赤なボディは、夕暮れの光に照らされ、更
に紅く、映えて見えた。
 時間を確認するように腕時計に視線を落とし、再び顔を上げ
るとお姉さんは爆音を響かせ、走り出した。
 あっと言う間にお姉さんは見えなくなってしまった。
 遠くから、時折バイクの排気音だけが響いてきた。
 夕暮れが夜の闇の変わった頃、ようやく僕は我に帰り、自動
販売機からジュースを買い、それを飲みながら歩き出した。
 胸が何故か、高鳴っていた。

297 名前:夏の幻想 2 投稿日:02/01/20 16:16 ID:kV32s2Za
 あっという間に夏休み前の最後の試練―――一学期の期末テ
ストが終わり、僕は夏休みを迎えていた。
 テストの結果は・・・・・・まあ、補修授業に出る事無く、こうし
てグラウンドで部活が出来る。それだけ言っておこう。
 真夏の日差しに照らされながら、僕はセンタリングされたボ
ールを胸で受けた。
 バチンッ!と音がなるほど激しいパスだったが、なんとか胸
でトラップする。
 Tシャツは既にもう、脱ぎ捨ててあった。
 汗を吸い込み、もはやそれはTシャツとして意味をなしてい
なかったからだ。
 他の部員も、全員上半身裸だった。
 休憩を促す笛の音が鳴り響き、僕はグラウンドに設置されて
いる水飲み場まで走った。
 蛇口を限界までひねり、吹き出した水の中に頭を突っ込む。
 冷たい水が心地よかった。
 ぱさぱさに乾いた髪を冷水で潤し、頭を降る。
 水しぶきが夏の光を受け、輝いた。
 後輩から受け取ったタオルで頭を拭いていると、遠くからバ
イクの排気音が聴こえて来た。
 まさか、とは思ったがやはりそれはあのお姉さんのバイクだ
った。
 校門からその真っ赤なバイクが突っ込んできて、生徒用玄関
の目の前に横付けされた、と同時にお姉さんがヘルメットを脱
ぎ捨て、校舎へ走り込んだ。
 暫くすると、一人の髪の長い女の子を背に担ぎ、お姉さんが
校舎から出てきて、そしてそのままバイクにまたがると爆音を響かせ走り去ってしまった。
 僕はそれを呆然と見ていることしか出来なかった。

298 名前:夏の幻想 3 投稿日:02/01/20 16:17 ID:kV32s2Za
 部活の無い休日、僕は部活の仲間とともに、町の商店街にあ
る玩具屋にいた。
 というのも、この町はゲーム屋が無く、ゲームを買うとなる
とこの玩具屋しかなかったのだ。
 部活の仲間とあのゲームは面白かった。あれは糞ゲーだ、な
どとゲーム談義に夢中になっていると、店員の声が響いた。
「いらっしゃいませー」
 その声に反射的に振り向くと、そこにはあのお姉さんがいた。
「ぬいぐるみ・・・・・・でええやろか」
 と呟きながら、ぬいぐるみコーナーに足を向け、お姉さんは
歩き出した。
「恐竜・・・・・・あった。あ、でももうこれと同じ物持っとるみた
いやし・・・・・・ああ、どれ持ってへんのかわからへん」
 恐竜のぬいぐるみをあれこれと選びながらも、それでもお姉
さんは嬉しそうだった。
 誰かへのプレゼントだろうか。
 いや、多分そうなんだろう。
 というのも、この前、お姉さんが女の子をバイクで連れて帰
った後、後輩から聞いていたのだ。
『俺のクラスの神尾っていう女、なんか病気らしくてよく癇癪
起こすんですよ。んでよく母親が迎えにくるんです』
 とその後輩は言っていた。
 恐らく、その子へのプレゼントなのだろう。
「お、これはたしか持ってあらへん・・・・・・う、ごっつ高いわ。
でもあの子喜ぶやろうし・・・・・・」
 暫く、お姉さんが首が長い恐竜のぬいぐるみとにらみ合って
いると不意に立ち上がった。
「決めた。これにするわ」
 そう呟きつつ、お姉さんは嬉しそうにそれを買っていった。
 それを見て、僕もなんだか嬉しい気持ちになってしまった。

299 名前:夏の幻想 4 投稿日:02/01/20 16:17 ID:kV32s2Za
 玩具屋であのお姉さんを見かけてから数日後、部活の休憩時
間に僕は後輩にあのお姉さんと女の子についてさらに詳しい話
を聞いた。
『いや、俺も親から聞いただけなんですけど、結構この町じゃ
有名ですよ。あの家』
 後輩はそこで意味ありげに言葉を切り、また続けた。
『ほら、よく癇癪を起こすって前に言ったでしょう・・・・・・?
あれ、保育園の頃かららしいんです。少なくとも今年の春に俺
と神尾が同じクラスになってから、一ヶ月に一回は癇癪起こし
ていて・・・・・・もうクラス中も慣れっこというか、無視している
感じで・・・・・・一部の奴らに変な噂なんか立てられてて』
 もっと詳しく、とせっつくと、後輩がため息をついてまた話
だした。
『それに、あの親子、本当の親子じゃないんですよ。確かあの
母親のお姉さんの娘らしいんです。どんな事情があるかは知り
ませんけどね』
 そこまで言うと、後輩は喋りすぎたか、というような表情を
して、練習に戻っていった。
 僕はというと考え込んでしまっていた。
 あのお姉さんは、僕ぐらいの年齢にあの子を引き取ったのだ
ろう。
 どれだけ苦労したのか、容易に想像が出来る。
 なんでだろうか。
 なんで、これほどまでにあのお姉さんの事が気に掛かるんだ
ろうか。
 同情?
 好奇心?
 いや、違う。
 そんなものじゃない。
 今の僕の気持ちは。

300 名前:夏の幻想 5 投稿日:02/01/20 16:18 ID:kV32s2Za
 八月に入り、夏がさらに深まった。
 蝉の鳴き声に耳を傾け、商店街に向う道を歩いていると、女
性の叫び声が聴こえた。
「観鈴を連れていかんといてやっ!」
 弾かれるようにその声のするように走った。
 門を曲がると、驚くべき光景が繰り広げられていて、慌てて
身を隠した。
 伺うようにそっと壁から覗くと、あのお姉さんと若い男が何
やら言い争っているようだった。
 観鈴、という名前は聞き覚えがあった。
 たしか、あのお姉さんが学校に迎えに来た女の子の事だ。
 そしてその子は・・・・・・車椅子に座り、大人二人の言い争いを
見上げていた。
 あの印象的な長い髪は肩口で切りそろえられていた。
 病気なのだろうか。
 ただ気になったのはそんな事ではなく、どこか幼い表情をし
ている事だった。
 まるで全てを忘れてしまったかのような。
 気がつくと、言い争っていた男が踵を返しこちらに歩いてこ
ようとしていた。
 慌てて身を隠す。
 男は僕に気付く事無く、立ち去っていった。
 また様子をうかがうと、お姉さんが車椅子を押して歩いてい
く所だった。
 その後姿があまりにも儚く途方にくれていて、思わず手を伸
ばして声を掛けそうになってしまった。
 でも、掛けるべき言葉なんて見つからなかった。
 何を言えばいいんだ。
 向こうは、僕の事なんて知らないのに。
 夏の日差しとは対照的に、僕の気持ちは暗く沈んでいた。

301 名前:夏の幻想 6 投稿日:02/01/20 16:18 ID:kV32s2Za
 その晩、僕は布団の中で、身悶えていた。
 いきなり現実を突きつけられてしまったような・・・・・・そんな
感じだった。
 あの人は僕よりずっと年上で、それでいて義理とは言え一児
の母で、そして・・・・・・。
 胸で燻っているのは拙い慕情。年上の女(ひと)への憧れ。
 頭の中に渦巻いているものは・・・・・・悩み、葛藤。
 そして・・・・・・嫉妬。
 いったいあの男は何者なんだろう?
『観鈴を連れていかんといてや!』
 あの人はそう叫んでいた。
 まるで自分の一番大切なものを奪われるかのような必死の表
情で、涙を流して。
 恐らく、あの男は観鈴というあの女の子の本当の父親なのだ
ろう。
 だからといって・・・・・・十年も放置しておいて、急に連れ去ろ
うというのは許せないだろう。
 あの人にしてみれば。
 何か、してあげたかった。
 でも、何も出来ないのは自分でもわかっていた。
 何か、声を掛けてあげたかった。
 でも、何て声を掛ければいいのかわからなかった。
 僕にはどうする事も出来ない。
 僕は他人だから。
 それが、とても悔しかった。
 もう、あの人の事は忘れよう。
 そう、思った。
 そう、思う事にした。

302 名前:夏の幻想 7 投稿日:02/01/20 16:19 ID:kV32s2Za
 それから僕は極力、あのお姉さん―――あの人の事を考えな
いようにしていた。
 考えれば考えるほど、自分の無力さに心が沈んでしまう。
 だから、考えない。
 幸い、最近はあのバイクを見かけることも無かったし、排気
音が聴こえてくる事も無かった。
 それが良くも悪くも、今の僕には嬉しかった。
 でも、夏も終わりに近づいていたあの日、僕はまたあの人に
会ってしまったんだ。
 よりにもよって、あんな時に。

 その日は前日の嵐のせいか、町じゅうに篭っていた熱気が吹
き飛ばされたかのように清清しかった。
 日差しはいつものまま、照り付けていたけれど、それでも優
しかった。
 部活帰り、棒アイスを口に咥えながら自宅への家路をたどっ
ていると見慣れた人が道路にうずくまっていた。
 慌てて踵を返そうとした。
 忘れようとしている人が、そこにいた。
 二、三歩走り出し、また僕は足を止めた。
 よくよく考えると、様子が尋常ではなかったからだ。
 あの人の背中は震えていて、あの人がいる場所から少し離れ
た場所に車椅子だけがぽつん、と置かれていて・・・・・・。
 蝉の鳴き声にかき消され、先ほどは聴こえなかったけど、あ
の人の嗚咽が響いていて。
 僕は慌ててあの人の所へ駆け寄った。
「ど、どうしたんですか?」
 その声に振り返ったあの人の顔は涙に濡れて、ぐしゃぐしゃ
になっていて、そして・・・・・・その胸にはあの子が眠るように抱
かれていた。

303 名前:夏の幻想 8 投稿日:02/01/20 16:20 ID:kV32s2Za
「き、救急車・・・・・・呼んでくれへんか?」
 あの人は悲痛な声で、それだけ僕に伝えると押し黙ってしま
った。
「きゅ、救急車って」
 僕は動揺してしまった。素人目にも分かった。
 その人の胸に抱かれている女の子にはもう、生命が宿ってい
ない事が。
「あ、ああ・・・・・・この子な、うちの娘やねん。大事な・・・・・・大
事な一人娘やねん。何や、今はちょっと疲れて眠っとるだけや。
心配あらへんねん。でも・・・・・・一応救急車を呼んだ方がええや
ろ?」
 その人は、そう言って笑った。
「だから・・・・・・早く、早く救急車呼んでやっ!」
 そう絶叫し、だらり、と力が抜けきっている自分の娘の身体
を抱きしめ、また泣き出してしまった。
 僕はその声に促され、少し先にあった商店の外に備え付けら
れた公衆電話から、救急車を呼んだ。
「まだ、生きとるんや。そうに決まっとる!」
 そう絶叫しながらさらに激しく、きつくその子を抱きしめる。
「やっと、やっと親子になれたんや。血の繋がりなんて関係あ
らへん、気持ちで繋がっとる本当の親子やっ!」
 その人はそう叫んで、力なくまた、泣き出した。
「本当の・・・・・・親子なんや・・・・・・」
 そう呟いた言葉は蝉の鳴き声にかき消された。
 夏の日差しに照らされ、僕はその人の側に立ち尽くす事しか
出来なかった。
 その人が漏らす嗚咽と、蝉の鳴き声だけが辺りに響いていた。
 見上げた空には夏の太陽と、流れる入道雲だけがあった。
 遠くから救急車のサイレンの音が響いて来るのにはもう少し
だけ、時間が掛かりそうだった。

304 名前:夏の幻想 9 投稿日:02/01/20 16:21 ID:kV32s2Za
 気がついたら、家にいた。
 あの後の事は正直覚えていない。
 救急車が来て、あの人と娘さんを乗せて走り去った所までは
覚えていた。
『な、頼むわ、うちの娘を助けてやっ!』
 もう冷たくなりかけたその身体にすがりつき、そう救急隊員
に向って泣き叫んだあの人の顔だけが、瞳の奥に焼きついてい
た。
 その後はどういう道順で、どのように家に帰ってきたのか、
さっぱり覚えていなかった。
 あの人は・・・・・・あれからどうなったんだろう。
 何を思っているんだろう。
 娘の死を受け入れる事が出来たのだろうか。

 それから数日、僕は何も考える事が出来ず、部活にも出ない
で家に閉じこもった。
 部活の顧問には体調がわるいので、とだけ断った。
 心配した後輩から電話が掛かってきて、ようやく僕は家を出
る事にした。
『明日、神尾の通夜があるんです。クラス全員一応出る事にな
って・・・・・・それで先輩も無関係じゃないんで、一応伝えておこ
うと思って・・・・・・』
 僕が救急車を呼んだ、というのは知れ渡っているんだろう。
 その後輩の言葉でそう察する事が出来た。
 なら、出ないわけにはいかない。
『わかった。伝えてくれてありがとうな』
 とだけ返事をして、僕はまた考え込んでしまった。
 なんて、言葉を掛ければいいのだろう。
 伝えるべき言葉が、見つからなかった。
 見つける事が出来なかった。

305 名前:夏の幻想 10 投稿日:02/01/20 16:21 ID:kV32s2Za
 通夜があるその日は雨が降っていた。
 まるで天が悲しみ、涙を流しているかのように、しとしとと
雨が降りしきっていた。
「あ、先輩」
 記帳の列に並んでいた後輩から声が掛けられた。
「・・・・・・おう」
 とだけ返事を返し、僕は記帳の列の最後列に並んだ。
 後輩もそれ以上、声を掛けてくる事は無かった。
 僕もそれ以上、何も言わない。
 誰の言葉も聴こえてくる事は無かった。
 雨が地面に降り注ぐ音だけが、響いていた。
 最後尾から辺りを見回すと、学校の制服に身を包んだ数十人
の生徒がいた。
 恐らく同じクラスの生徒だろうか。
 誰も泣いていなかった。
 暗い表情はしていたものの・・・・・・誰一人、涙を流す者はいな
いようだ。
 それがあの子の高校生活の全てを物語っていた。
『もうクラス中も慣れっこというか、無視している感じで』
 という後輩の言葉が思い出される。
 あの子はいつも孤独で、悲しんでいたのだろう。
 胸に込み上げてくるものがあった。
 表現しきれない、不思議な感情だった。

 やがて記帳も済み、僕は本堂へと足を踏み入れた。
 焼香はもう始まっていて、僕はその列に並んだ。
 親族席に、ぼー、とひざを抱えて座り込んでいる、あの人が
見えた。
 その表情は遠すぎて見えないが、それでも雰囲気で尋常では
ない事が伺えた。

306 名前:夏の幻想 11 投稿日:02/01/20 16:22 ID:kV32s2Za
 何を言えばいいんだろう。
 何て声を掛ければいいのだろう。
 心の奥でそれだけがぐるぐると回っていた。
 気がつくともう、僕の番だった。
 作法通りに焼香を済ませ、あの人に向かい、一礼する。
 顔を上げると、あの人の表情が目に映った。
 力が抜けていて、さらに生気さえ抜けきったような表情だっ
た。
 まるでこの世の全てを諦めたような。
 そんな、悲しい顔だった。
「・・・・・・っ」
 何か言おうとした。
 でも、言葉が見つからなかった。
 辺りに視線を彷徨わせると、あの子の遺影が見えた。
 遺影の中のあの子は、ピースサインをして笑っていた。
 そうだ。
 あの子は、最後には笑っていたんだ。
「あの子は・・・・・・僕が見た時、笑っていました。あなたの胸の
中で、本当に幸せそうに・・・・・・笑っていました」
 それ以上、言葉が出なかった。
 それだけしか、伝える事が出来なかった。
 例え僕が掛けた言葉がその人の心の傷口を掻き毟るだけだと
気付いていても。
「あ・・・・・・うぁ・・・・・・ひぃ・・・・・・ん」
 その人は僕を見上げ、悲痛な泣き声を上げた。
 僕はその声から逃げるように、踵を返した。
 本堂から出ると、涙が零れた。
 雨はまだ降っていた。
 まだまだ、降り止みそうに無かった。
 あの人も、まだ泣き続けるのだろう。

307 名前:夏の幻想 12 投稿日:02/01/20 16:22 ID:kV32s2Za
「ま、これでもう授業中に癇癪起こされて迷惑掛けられる事も
なくなるな」
「ひひ、そうだな」
 というやり取りが聞こえてきたのは、寺の境内を出る瞬間だ
った。
 慌ててその声がした方へ視線を移す。
 あの子と同じクラスの奴だろう。
 そんな事を言いながら、笑っていた。
 身体が震えた。心が熱くなった。
 たまらず走り、片方の方を殴った。
「っ痛!」
「て、てめぇ、何すんだよっ!」
 僕は無言でさらに殴った。
 殴られて倒れ込んだ奴の腹部をさらに蹴上げる。
 サッカー部で鍛えているんだ。僕の蹴りはさぞや効くだろう。
 もう一人の方に向って、僕は感情に任せて怒鳴りつけた。
「『迷惑掛けられる事もなくなるな』だって!?」
 怒鳴りつけ、また殴った。
「よくそんな事が言えるな!不謹慎だろうがっ!」
 再度、また怒鳴りつけるとその二人組みは顔を見合わせた。
「お、おいっ!こいつ3年のサッカー部の・・・・・・!」
「うぁっやべぇっ!」
 そう叫び、逃げようとした先にはサッカー部の後輩がいた。
「逃がさないよ」
 と後輩が笑い、一人に殴りかかった。
「お前ら、神尾が生きていた時、根も葉もない噂立ててたろ!」
 その声にさらに僕の気持ちが昂ぶった。
 やがて警察が駆けつけるまで、僕と後輩と、その二人は殴り
合いを繰り広げた。
 胸の奥で、何かが燻っていた。

308 名前:夏の幻想 13 投稿日:02/01/20 16:23 ID:kV32s2Za
 あれから2週間が過ぎた。
 部活は活動停止、僕と後輩は自宅謹慎となっていた。
 でも、部活の連中は僕と後輩をその事で責める事は無かった。
『俺がその場にいたら、間違いなく加わっていたよ』
 という主将の言葉が嬉しかった。
 あの二人組は停学になっていた。
 というのもクラス中が学校側に全てをぶちまけたのだ。
 根も葉もない噂を立て、あの子を苦しめていた事も、通夜の
席での目に余る行動も何もかも。
 別にあの子は嫌われていたわけではない。
 それがわかった。
 ただ、どう接していいのか判らなかっただけだ。

 自宅謹慎も解け、ようやく学校に通いだした僕はあの人の事
が気に掛かっていた。
 あれから、どうしたんだろう。
 どうやって、過ごしたんだろう。
 まだ、泣いていないだろうか。
 まだ、苦しんではいないだろうか。
 いや、それはしょうがないだろう。
 一人娘を亡くしたのだから。
 そんな事を思いながら道を歩いていると、幼稚園が目に入り、
思わず足を向ける。
 懐かしいな、などと感慨にふけっていると、園児達が笑って
楽しそうに遊んでいた。
 それこそ、心底楽しそうだった。

309 名前:夏の幻想 14 投稿日:02/01/20 16:23 ID:kV32s2Za
 ぼー、とその風景を眺めていると、そこにいるはずのない人
の顔が見えた。
「晴子せんせー、あそぼっ」
 園児達があの人の手をひく。
「未来ちゃんっ、わかったわかった、そう引っ張らんでええ!」
 と言ったあの人は・・・・・・笑っていた。
 僕はそれを見て、身体が震えた。
 嬉しかった。
 あの人はまた、歩き始めたのだ。
 自分の意志で。
 それだけ確認すると、僕は家へと再び歩き出した。

 あの夕暮れに感じた感情は、あの人への慕情。
 夏の始まりが告げた、淡い恋。
 それは思春期の子供が年上の女性に感じる、憧れ。
 ようやく、それが終わりを告げた。
 夏の終わりとともに。
 あの優しそうな瞳が好きだった。
 娘の事を想い、悩んでいるあの人を見るのが好きだった。
 でも・・・・・・もうそれも終わった。
 それでいいと思った。
 それは誰しもが通り過ぎる、人生の通過点の一つだから。
 それは夏が作り出した、一つの幻想。
 あの人が自分で歩き出したように、僕も歩き出さなければ
ならない。
 ならば、歩き出そう。
 いや、歩き出さなければならないんだ。
 空の彼方に見えた飛行機雲を追いかけて、僕は走り出した。

―――了

310 名前:NIC ◆SSLuvQ3. 投稿日:02/01/20 16:25 ID:kV32s2Za
以上、
>>296-309
まで稚拙ですが上げさせていただきました。
途中、改行が上手くいっていなかった事をここでお詫び申し上げます。




第三弾(17:00〜21:00)

444 名前:ふじい00@投票済み 投稿日:02/01/20 17:02 ID:vq+NO8p0
観鈴日記 8月6日

今朝、お母さんが私の夢の話を聞いてきた。
でも、お母さんには言えない。

でも、少しだけお母さんに話した。
ちょっとだけでもってお母さんに言われたから。
すごくすごく悩んだけど、少しだけお母さんに話した。


その後、お母さんと夏祭りに行く約束をした。
お母さん、
「よっしゃ。絶対、連れてったる」
って言ってくれた。
「なにがあっても、あんたとうち、夏祭りいく」
って言ってくれた。
すごくすごく楽しみ。早く来週にならないかな?

その後、お母さんに電話がかかってきて、帰ってきたらお母さん、なんか元気
なかった。
お母さん、私に、橘の家、帰りたいか?って聞いてきた。
でも私、
「ううん、ここにいるよ、ずっと」
って言った。だって私の本当の家はここだから。
自分がいて、一番幸せな場所はここだから。
私のお母さんがいる場所だから・・・


観鈴日記 8月7日(2/2)

今日はお母さんとお出かけ。
私が海行きたい、って言ったらお母さんも同じだった。
麦わら帽子もっていく。
でも・・・

海に行けなかった。
私、足手まといで・・・
そう言ったらお母さん、
「・・・あほ、そんなこと言いな」
って・・・
「もっとおいしいもの食べて、体力つけて、出かけたらええだけやないの」
って・・・
「明日、またいこ。その代わり、今日はゆっくり休み」
って・・・。

明日またがんばる。観鈴ちん、ふぁいと。

でも・・・
なんとなく体が痛い。この日記書いてる間も。
お母さんと明日、海行きたいのに・・・
夜になってもっと痛み出したら・・・

もしかしたら、お母さんがこの日記、見つけてくれるかもしれないから。
ここに書いておきます。
もしね・・・
朝起きて、もしもわたしが変わってしまっても・・・
わたしは覚えてるから
お母さんの顔、お母さんの笑顔、覚えてるから
わたしの中では、ずっとお母さんは笑顔
それ覚えてるから、だいじょうぶだよ


お母さんと海、行きたかったよ





とりあえず日記シリーズは以上です。
続きも書きたいんですが、次からはゲームのAIRとどうすり合わせていくかで時間かかりそうなんで。
それやってると時間が間にあわないっぽいです。
間に合えば、違う晴子さん支援のを書きますが、時間あるかな?(遅筆スマソ)
奇跡を信じて、後悔の無いように。
晴子さん支援の方も、葵ちゃん支援の方も、マルチ支援の方も頑張ってください。







313 名前:授業参観 1 ◆HarukooQ 投稿日:02/01/20 19:00 ID:91ykFZEc

「うーん……」

 ひとり言である。

「うーーん………」

 別にわざと声を出そうと意識しているわけではない。

「うーーーん…………」

 自分の部屋なのだから遠慮する必要もないだろう。
 体の調子が悪くて唸っているのではない。
 考え込んでいるのだ。
 机の上にある、一枚の紙きれとにらめっこしながら…。

『授業参観日のお知らせ』

 観鈴をひどく悩ませる紙きれには、そう見出しがついていた。

 ちゃんと父兄の方に渡すように。担任の先生は念を押している。
 プリントが配られたときクラスメイトたちは興味なさそうにしていたが、
 どこか浮ついてるようにも見えた。
 やっぱり嬉しいものなのだろうか?
 がんばってる自分を見てもらいたいという欲求は正当なものなのだろうか?

 でも……。

 自分にはそれを求める資格がないような気がする。

314 名前:授業参観 2 ◆HarukooQ 投稿日:02/01/20 19:02 ID:91ykFZEc

 わたしはいらない子だから。

 今までもずっとそう思ってきたし、これからもそう思い続けるだろう。
 そうやって自分を抑えつけなければ居場所がなくなってしまう。
 自分が生きているだけで、誰かに迷惑がかかり続ける。
 だから、なるべくわがままは言わないようにしよう。
 授業参観に来てほしいなんて、とてもじゃないけどお願いできない。
 迷惑をかけるのは最低限にとどめたいから。

「にはは…。わたし、どうして泣いてるんだろう……」

 ぽたぽたと涙が机を濡らした。

 もう決めたのに…。
 お母さん…晴子さんには、このことを知らせずにおくって。
 お母さん、いつもお仕事がんばってる。
 こんなこと言っても困らせるだけ。
 だから、わたし、わがまま言わない。
 日曜日がきてもいつも通り過ごすから大丈夫。
 全然、寂しくなんかないよ。
 寂しくなんか……寂しくなんか……。

「もう寝よう」

 答えは出てるはずなのに、いつまでたってもふりきれない。
 だから…観鈴は考えることを放棄した。

315 名前:授業参観 3 ◆HarukooQ 投稿日:02/01/20 19:02 ID:91ykFZEc
「観鈴ー、酒の買い置きどこにやったか知らんかー。もう寝てもうたんかー。入るでぇ〜」

 すやすやとかわいい寝顔。
 案の定、観鈴は既に寝入っていた。
 どうしたものかと思案するが、わざわざ起こすのも可哀想な話である。
 そこで、ふと、月明かりに照らされた学習机の上。一枚のプリントが目に入った。
 薄暗い中、なにげなしに目を通す。しかし、一瞬で晴子は硬直してしまった。

「あれ……お母さん?」
「あははっ、悪い、観鈴。起こしてもうたか?」

 苦笑しながら、気づかれぬようプリントを戻す。

「酒の買い置き知らんか? どこ探しても見つからへんのやけど」
「戸棚の奥にあるよ。ここに置いとくねって前に言わなかったかな」
「ああ、そうやった、そうやった。うっかり忘れとったわ。ほな、うちはこれで戻るな。
寝とるの起こしてもて堪忍や。おやすみやで〜」

 返事も聞かず、部屋を飛び出した。
 これ以上、観鈴の顔を見ていられなかった。
 要するに逃げ出したのだ。
 今更ながら、自分の弱さに腹が立つ。

「はぁ………」

 肺の中のよどみを大きく吐き出す。
 今夜はもう飲む気になれなかった。

316 名前:授業参観 4 ◆HarukooQ 投稿日:02/01/20 19:03 ID:91ykFZEc

 わかっている。
 十分理解している。
 絶対に行かなければならない。

 授業参観。

 なにげない学校生活の一行事だが、これの意味するところは他と比較にならないほど大きい。
 …儀式である。
 親と子の絆を確かめ合う、ひとつの神聖な儀式である。
 子供を持つ親なら、他のなによりも優先するべきイベント。
 這ってでも出席せねばならないだろう。

 しかし…。

 どうしてもためらってしまう自分がいる。
 得体の知れないなにかに怯えている自分がいる。
 血の繋がった親子じゃない。お腹を痛めて生んだ子じゃない。
 いっしょに暮らしていくため、お互いが暗黙のうちに引いた境界線。
 自分は、そのラインをふてぶてしく踏み込もうとしているのではないか?
 これはただのひとりよがりで、観鈴は自分など求めていないのでないか?

 …心の中を錯綜する様々な想い。

 こんなに苦しむなら、いっそ知らなければよかったとも思う。
 問題の授業参観日は次の日曜。
 どうもそれまでに考えはまとまりそうになかった。

317 名前:授業参観 5 ◆HarukooQ 投稿日:02/01/20 19:04 ID:91ykFZEc
「あれ? おはよう、お母さん。今日は早いんだね」

 日曜日を迎えた神尾家の朝。
 結局、あれから観鈴は授業参観のことを口にしなかったし、晴子の方も気づかぬふりで通した。
 いつも通りの神尾家だが、家主が早起きしたことだけが違っていた。

「あたりまえや。今日はちょっと気合いれておめかしせなあかんからな。
そのへんのおっさんおばさんに後れをとるわけにはいかへん」
「…………え?」

 文字通り、ぽかんと口を開けた観鈴に表情をくずして宣言する。

「…今日は授業参観日やろ。あんたの隠し事なんか全部お見通しや。学校でいっつもみたいに
ドジするところ見られたないから、黙ってやり過ごすつもりやったんやろうけど、そうはいかへん。
がおとか言うたら、例え教室の中でも遠慮なしにどついたるからな。覚悟しときや」

 ……あれからいろいろ考えたが、結局、答えは出なかった。
 なにが正しくて、なにが間違ってるのか。そんなものはわからなかった。
 ならば…自分が思うままに行動するだけ。“親”としての責務を果たすだけ。

 『うちが行きたいから行く。ただ…それだけや……』

「ほら、観鈴。あんたの方が先に学校行かなあかんやろ。さっさと準備し。
ええか、今日は特別な日やねんから、あんたも気合入れていくんやでっ」

 腕を上げて力こぶを作るようなポーズをとる。

「………うんっ!」

 これまでのわだかまりが一切ふっきれたかのような、満面の笑みで観鈴が応えた。





600 名前:青空の想い ◆HarukooQ 投稿日:02/01/20 20:08 ID:91ykFZEc
http://www.geocities.co.jp/Playtown-Queen/8330/aozora.mid


――あの海どこまでも青かった遠くまで
   あの道どこまでも続いてたまっすぐに

ふたりで見る海が、あんなに綺麗だなんて知らなかった。
ふたりで踏んだ砂の感触が、あんなに気持ちいいなんて知らなかった。
昔のわたしたちはくることができなかったけど、
おかあさんのおかげで、わたしは辿り着けた。
ふたりだと、この海は、青空は、世界は……
こんなにも広く感じるんだね。

おかあさんが笑ってくれるから、わたしも心から笑える。
おかあさんがいっしょにいてくれるから、ずっと安心できる。
だからね…もし……もし、わたしが……

――誰よりも遠くにいってもここからまた笑ってくれる?

601 名前:青空の想い ◆HarukooQ 投稿日:02/01/20 20:09 ID:91ykFZEc
――たくさんの思い出がある 他にはなにもいらないぐらい

往人さんと出会ったあの日からはじまったこの夏やすみ…。
いろいろなことがあった夏やすみ。
じゅうぶんなぐらい、なにもかもやりとげた。
だからおかあさん……もう泣かないで。
往人さんとおかあさんといっしょにすごした日々が、
すごく楽しかったから、とても幸せだったから……それがわたしの宝物。


――瞳を閉じればすぐあの海の匂い

いつだって思い出せる、幸せな記憶。
それはずっと欲しかったもの。ずっと昔からわたしたちは求めて止まなかった。
そして……ついに手に入れた…。
おかあさんがいっぱい幸せをくれたから、わたしはゴールできるんだよ。
…だからね…おかあさん……

――誰よりも遠くにいってもここからまた笑ってくれる?

604 名前:晴子さん命 ◆HarukooQ 投稿日:02/01/20 20:09 ID:91ykFZEc
>>600-601
電波文支援





672 名前:晴子さん命 ◆HarukooQ 投稿日:02/01/20 20:57 ID:91ykFZEc
↓晴子さんが凄い勢いで帰宅します。

673 名前:晴子さん命 ◆HarukooQ 投稿日:02/01/20 20:57 ID:91ykFZEc
すっかり夜も更けてまいりました。多くの住民が就寝するこの時間、
この平和な田舎町には不釣合いな轟音を立てて、神尾晴子が帰宅の途についております。
『名激突数え歌』
真紅に輝く巨大なバイクを操るその姿は、
さながら、赤兎馬を駆る呂布といったところでしょうか。
家族を守るため、娘を養うため。今日も一仕事を終えて、今、母、帰還せり。

さあ、逝くのか、逝くのか。
あと僅かで到着というのにそのスピードは衰えない。
今夜も、今夜も逝っちゃうのか。
急激に車体をバンクさせ、今、門をくぐり…

逝ったああああああああああぁぁぁぁぁっっっ!!!!!!
突っ込んだあああああああああああぁぁぁぁっっっ!!!!!

納屋に激突っっっ!!!!!
学習能力が無いのか!? それとも単にバカなのか!!??
今夜も出ましたっ、神尾家名物クラッシュin 納屋!!
それよりもこの家は一体どうなってるんだ!!??
いつ、納屋は修復されているのか!?

「ただいまやぁ」

おおーーーっと、無事です! 神尾晴子、ピンピンしております!!
あれだけの事故で何事も無かったかのように、
今、玄関で観鈴に出迎えられましたーーーっ!!




第四弾(21:00〜終了)

776 名前:めいどさんで行こう♪ (晴子支援:1/3)  投稿日:02/01/20 21:52 ID:g+ZdjG1r
晴子「う〜ん、、、どうも、うちへの投票が少ない気がするなぁ、居候?」
往人「そりゃそうだろう。何せ今回は三つ巴戦だからな
   しかも相手は葉陣営の古参萌えキャラが2人。苦戦してもしょうーがねーな。」
晴子「そうかぁ、、、ああ、今度の相手は『双子キャラ』なのかぁ。まぁ苦戦もするやろな。」
往人「はぁ?」
晴子「ほらよく見てみぃ? この『まるち』って奴と『あおい』って奴の髪型がそっく
 (以下、みなちゅーに怒られそうな発言が連発するため強制割愛(滝汗)

往人「はぁはぁぜぇぜぇ、、、(@@;)」
晴子「ん? 何息ぎれ起こしとるんや? 旅人が聞いて呆れるなぁ〜」
往人「(お前の発言の消去で疲れたんだがな、、、)ともあれ、対策は練ってあるのか?」
晴子「ふ、ふ、ふ、、、これやっ!

   てけてけんっ♪

晴子「み〜み〜ぱっ〜どやでぇ〜♪ (←青猫ロボ風味)」
往人「、、、まんまパクリ――(ドゲシッ!)って!何するんだいきなりっ?!」
晴子「アホ抜かせっ! 誰がマルチをパクる言うた! よぉこれ見てみぃ?」
往人「これは、、、セリオの耳?」
晴子「そうや! マルチのライバル言うたらセリオやろ?」
往人「まぁ、セリオと言えば本戦で神奈と激戦を繰り広げていたよな、、、って、まさか、、、?」
晴子「マルチが慕い、同時に苦手意識を持っているセリオになる、、、
   これならセリオファンの票が集まって、うちらはウッハウハやでっ!(^^)」
往人「ウッハウハ、、、、、、って、そう上手くいくものかねぇ、、、?」
晴子「ふっ、まぁ見ればわかるで、、、ションベンちびってもうちは知らんでぇ〜♪」
往人「(それってつまり逆効果って事だと思うのだが、、、いいのだろうか、、、?)」

 カチッ♪(←晴子、耳を装着するの音)

782 名前:めいどさんで行こう♪ (晴子支援:2/3)  投稿日:02/01/20 21:53 ID:g+ZdjG1r
晴子「じゃじゃ〜ん☆ KMX−01ハルコ、御用とあれば即参上やでっ!」
往人「、、、ラーメンセット」
晴子「、、、」
往人「腹が減った、どうでもいいからラーメンセットを頼――(ドゴォッ!)――ぐぁっ!!」
晴子「阿呆ぅ! まずはマニュアルをちゃ〜んと読みぃや?!」
往人「い、何時の間にマニュアルなんぞ?!」
晴子「KMXシリーズのサポートは万全なんや〜♪」
往人「手書きのマニュアルかよ、、、ま、まぁ、とりあえず使える機能を調べてみるか―――」

 ※ 『KMX−01ハルコ』機能紹介
  1.酒
  2.無駄話
  3.ドライブ
  4.あ・れ♪
  以上。細かい説明は抜きや、あとは実践でつかってみぃや☆

往人「カエレ。」
晴子「なんでや〜っ! 」
往人「たったの4つ、殆どが普段の行動じゃねーか! 第一、サテライトサービスは―――。」
晴子「悪いなぁ〜。 生憎ここは田舎やろ、衛星さんも圏外なんやっ☆」
往人「んなわけある――――――グボッ?!!(往人、無理やり酒を流し込まれる。)」
晴子「ぐだぐだ言ってるから機能1を強制執行やで〜♪」
往人「ぐぉ、、、なんでメイドロボが主に命令をする、、、(@@)」
晴子「ほな、早速いこかっ。 『恥ずかしい告白のこぉ〜なぁ〜〜〜♪♪』」
往人「早くも2番目っ?!Σ(゜□゜;)」
晴子「恥ずかしい告白するほうと、それ聞きながら飲み続けるほう、どっちがええ?」
往人「、、、どっちも嫌だ。」
晴子「どっちも嫌やったら、飲み続けながら恥ずかしい過去を告白しつつ3番やで〜?」
往人「、、、飲む(TロT)」

784 名前:めいどさんで行こう♪ (晴子支援:3/3) 投稿日:02/01/20 21:54 ID:g+ZdjG1r
 (3時間後、、、)

往人「うっ、、、頭が痛ぇ、、、」
晴子「なんやぁ? もうギブアップかいな、、、」
往人「ちくしょぉ、、、投票がウッハウハどころか、全然駄目駄目じゃね〜かぁぁっ!」
晴子「居候、、、うちの最後の機能、忘れとらんかぁ、、、?」
往人「、、、、、、」

  4.ア・レ♪

往人「ちょっと待てぇぇぇ!!!」
晴子「さぁさぁ♪ このタイミングで濡れ場を披露すれば票なんてドカドカくるで〜♪
   年端もいかない嬢ちゃんには真似できへん、めくるめく大人の世界やぁ〜!!」
往人「んなことできるかぁ! 第一、あんたは仮にも一児の母だろぉが!!」
晴子「観鈴はうちの本当の子やないし、、、それに、、、うちも初めてなんやし、、、(ぽ)」


  (往人くんの頭の中でフリーズが起きました。再起動します。)

往人「嘘だ!絶対嘘だぁぁ!! 今更純情ぶってるんんじゃねぇぞゴラァ!」
晴子「ええやんええやん〜。水瀬さんちの秋ちゃんだって、自称28歳未亡人処女だしぃ〜。」
往人「、、、、、、計算が合わない気がするのは、俺の気のせいか?」
晴子「気のせいや♪ さっ、最燃男トーナメントでの敗戦の傷、、、うちの胸の中で癒しぃや、、、?」
往人「く、来るなぁ、、、しかも変な声で囁いたり色目を使うのはやめてくれぇぇ、、、!!」



観鈴「が、がお、、、、、、お母さんに往人さん、夜中に騒ぐとご近所さんに迷惑だよ、、、?(・・;」

787 名前:めいどさんで行こう♪ (晴子支援:Extra,,,) 投稿日:02/01/20 21:55 ID:g+ZdjG1r
 ※『KMX−01ハルコ』プロダクトキーについて。

   プロダクトキーを入力すると、使用制限されている機能も使えるようになるんや。
   詳細はまだ言えへんけど、ごっつ凄い機能なんやで♪ どや?気になるやろ?気になるやろ?
   え? キーを入手する方法? そんなもん自分で考えな。金出しても教えへんで〜。

   というか、実のところうちも知らんのや、鍵の在り処、、、
   あはは、、、ほんま阿呆やなうちは〜。鍵ないとうち自身の機能を引き出せへんなんてな〜。

   うちは、、、うちはいつも、何かを無くしてからやないと大事なことに気づけへん。
   うちはごっつ阿呆なんや、、、笑ってやってや、居候、観鈴、、、、、、

   、、、うちは、うちは欲張りなんや、、、何も失いとぉないんや、、、!!
   いくら血の繋がってなくても、、、観鈴、あんたはうちの、神尾晴子のたった一人の娘なんやからな。
   それと、、、居候? あんたは観鈴の、たった一人の親友なんや、、、
   あんたは観鈴、、、いや、うちにとっても大事な家族なんやで?いきなり居なくなったりせんといて、、、
   だから居候、、、どうか、、、、あの娘の、、、、、、、、、

(※ 以上、マニュアル内に残されていた書き込み跡の解読結果。)
(※ ここから、その箇所に上書きされた文章です。)

   あかん、、、1回書き上げた文章、ポカして全部やり直しやで、、、
   おかげでここら辺の文章が読みにくなっとるかもしれへんけど、、、堪忍や。

   え〜っと、最後になってもうたが、、、『KMX−01ハルコ』はみんなの味方なんや♪
   困ったことがあったら何でも相談しぃや?みんなのハルコさんがすぐに飛んでいくで〜。

   なっ? 観鈴っ? 居候っ?(^^)

792 名前:へぼへぼなんだよもん 投稿日:02/01/20 21:57 ID:g+ZdjG1r
>>776
>>782
>>784
>>787
一応<<晴子さん>>支援のつもりです、、、へたっぴぃでゴメン、、、(−−;
あと1時間ちょいですが、、、3陣営ともに頑張ってくださいませ♪





899 名前:ふじい00@投票済み 投稿日:02/01/20 22:39 ID:5jvXwpmE
幸せの場所を探して(3/3)

保育園、手伝いに行くようになってから、もう結構たつ。
なんやかんやで、そこの子供らも、うちに懐いてくれるようになった。
まあ、それまで色々苦労あったけどな。
一回、どろり濃厚、持ってったったら、皆、変な顔して、その後ジュース捨ててもうた。
飲みもん、粗末にしたらあかんから全員なぐったったけどな。

その保育園の中で、一人、えらい泣き虫な女の子がおんねん。
お父さんが事故かなんかで亡くなってしもたみたいで、お母さんが朝から晩まで働きにいっとる
みたいやな。
それで、その子は親戚の家に預けられてるみたいやけど、お母さんが恋しいんやろ。いつも保育園
でもメソメソしとる。
そやから言ったった。
「いつもメソメソしてたらアカン」てな。
そうしたらその子、お母さんに捨てられた、いうねん。全然会いに来てくれへん、お母さん、自分
のこと嫌いになった、言うんや。
そやから怒ったった。
「あほいいな。あんたのお母さん、あんたの為に死ぬ気で働いとるんやろ。そやからなかなか会いに
 これやんだけやろ」ってな。

うちは自分の腹痛めて子供生んだ経験無いけど、観鈴がおった。
だから言ったった。
「親ってもんは、自分より娘の方が大事、思うもんなんや。それやのに、お母さん、悪言ったら
 アカン。お母さん、あんたのこと、幸せになって欲しい思っとるから、いっぱい働いてるんや。
 それやのにあんたがそんな変なこと言うたら、お母さん、えらい悲しむで」


そう言うたら、その子、お母さんおらんで寂しい、って、お母さん働かんでええから、家にいて
ほしい、って。まあまだ小さいから無理も無いけどな。
だから言ったった。
「なら、ウチがお母さんの代わりになったろか。保育園いてる間だけやけどウチがお母さんなったろ
 か」
ウチみたいなん嫌や、言うたらどついたってるとこやけど、その子、小さい声で「お母さんになって」
いうんや。
ウチの子は観鈴だけや、って決めてたけど、観鈴も小さい間、一人で寂しい思いばっかりさせてきた。
まあ代理やから許してや。観鈴。

それからは大変やで。保育園ではお母さん、お母さん、て懐いてくる。その子だけを面倒見る訳にも
イカンから、ちょっと待っとき、言うたらすぐぐずる。保育園終わってもウチの家に遊びに来る。
お母さんの代わり、保育園だけ、言うたってるのに。
まあでも、なかなか楽しいで。あの元気な観鈴見てるみたいで。
でも、観鈴の好きな変なジュースは、さすがにアカンみたいやけど。

ウチ、保育園手伝いに行って、良かった、思てる。
いろんな親子がおって、その親子の数だけ、家庭があって、いろんな事情抱えた家庭があって。
ウチはその家庭の手伝い、させてもろてるんや。
ウチの子は観鈴だけ。観鈴はもうおらんから、今度はウチが頑張る。頑張り屋やった観鈴の分まで。
なんか変なこと書いてるけど許してや。こんなん書くん、ごっつ苦手なんや。


ふう。
やっぱ、手紙言うんは苦手やなあ。敬介が、「たまには電話じゃなくて手紙で近況知らせろ」言う
から書いたったけど、訳分からん手紙になっとる。
まあええわ。ふぅー、疲れた疲れた、ジュースでも飲も。
ガシャガシャガシャーン!!
なんやなんや?
「うわーーーん」
またかー。今度は何や?
ゲゲ、皿全部割っとる。こら、観由。なんでアンタはいつもじっとしとれんのやー。
「うえーん、ごめーん、おかあさーん」
「ふうー、これだけ割ったら掃除大変やで」

観鈴、やっぱお母さんは代理でも大変やで。
観鈴はゴールしたけど、ウチのゴールはまだまだ先みたいや。

なんか訳分からんSSになっとる(^^;
支援になってるのかすら分かりませんがw、一応書いてみました。
推敲してる時間がまったくないので、変でも許して。
最後の支援(になってるかは謎)です。全力は尽くしました。
惜しむらくは自分の才能の無さw。





233 名前:HYAKUGOU ◆Hm100kPM 投稿日:02/01/20 23:42 ID:M4NdhnSt
【二人と一人と…】(1)

「そうか…」
 晴子はふと、西の空を見上げた。時刻はなんとなく日没直後。鮮やかな橙色に染め上げられた空。もう地上からは見えない太陽の光を照り返し、やはり橙色に輝く雲。晴子の顔も同じ色に染め上げられていた。
「あの…」
 その様子を見守る葵とマルチにはかける言葉が見つからない。
「おいおい、なんやねん、その顔は? それが勝者の顔かいな?」
 気配を感じたのか、振り返った晴子は、にやっと笑った。
「…って言っても片方はうちと同じ敗者やったな。
…だったら敗者らしい顔をせんかいっ!」
『ええっ!?』
 思わず声を揃えて言ってしまい、顔を見合わせて困惑する二人。真剣に敗者らしい顔・勝者らしい顔を作ろうと努力する。
「ボケに決まっとるやろうが、ボケに…」
 脱力し、手首だけひらひらさせて制止する晴子。
「は…はわわーっ…。そ…そうだったのですかぁ〜…」
「…あんたロボットにしては純粋すぎるで? オメガ因子ぐらいつけてもらった方がええんちゃうか?」
「す…すみません! 今度、保科先輩のところで特訓してきます!」
「あほかいっ! この体育会系が! どつかれるで?」
 天然ボケコンビ…いや、コンボに鮮やかな合いの手を入れてみせる晴子。

235 名前:HYAKUGOU ◆Hm100kPM 投稿日:02/01/20 23:43 ID:M4NdhnSt
【二人と一人と…】(2)

「…ま、しかし、その様子では、うちの心配は無用やったみたいやな?」
「え?」
 葵は思わず聞き返した。あいかわらず、にやりと笑っているが、軽く真面目さの混じった声に聞こえたのである。
「二人の間にわだかまりが出来るぐらいやったら、うちが代わりに勝ってやろうと思っとったんやけどな…」
「…そ…そうだったんですかぁぁぁ〜っ…!」
 涙もろいマルチはもう目を涙で一杯にしてしまっている。
「せやから、冗談やって!」
 苦笑いする晴子。
「そうですか?」
 軽く笑って首を傾げる葵。ふと、横を向いたマルチと目があった。どちらからともなく微笑みがもれる。

238 名前:HYAKUGOU ◆Hm100kPM 投稿日:02/01/20 23:43 ID:M4NdhnSt
【二人と一人と…】(3)

「じゃ! うちはこれで!」
「あ…」
 あっさりと背を向けた晴子。突然のことにしばらくそれを見送ってしまった葵とマルチは互いに顔を見合わせると大きく頷いた。たったった…とその後を追う。
「あ!」
「はわわーっ!? ど、どうしたんですか?」
 突然立ち止まった葵の背に思わず鼻をぶつけてしまうマルチ。
 夕焼けのため逆光で影になった晴子の横に、小さな影がもう一つ、飛び出してきたのである。
「…たしか…娘さん?」
 ぽつりと呟く葵。
 ここからは何を話しているか聞こえない。が、ややあって、大きな影は小さな影の頭をくしゃりとかき回すと、再び歩き出した。二つの影が並んで小さくなっていく。
「私たち…行っても、お邪魔みたいですね?」
「そうだね」
 マルチと葵は顔を見合わせて、また、笑った。

<おわり>

集計さん、今日は本当にお疲れさまでした…。
…まだおわってませんが…。

一回戦(対ユズハ戦)SS支援


トップページにモj